アミノ酸大百科

アミノ酸とサステナビリティアミノ酸とサステナビリティ

食肉生産を支えるアミノ酸

アミノ酸で家畜の栄養改善と、環境問題解決への貢献

食肉生産を支えるアミノ酸

家畜の飼育にも欠かせないアミノ酸

私たちのカラダを支える食、その中でも肉はたんぱく質、ミネラルなどの重要な源です。アミノ酸が動物の栄養に使われるようになって約50年、今では世界で食べられている鶏、豚の多くはアミノ酸入りの餌によって健康に、また効率的に育てられています。

家畜から出る窒素化合物で環境汚染

お肉が大好きという方も多いのではないでしょうか? 食肉から得られる良質の動物性たんぱく質は、私たちの食生活にとって重要なものです。ところが、家畜の排泄物から発生する過剰な窒素化合物が原因で、環境汚染が懸念されているのです。

過剰な排泄物の原因は飼料のアミノ酸バランスの悪さ

豚は、主にとうもろこしや小麦などの穀物に、大豆かすなどの植物性たんぱくを配合した飼料で飼育されます。飼料中のたんぱく質の約1/3は消化・吸収されますが、2/3は窒素化合物として排泄されてしまうのです。窒素化合物はアンモニアを発生して空気を汚したり、土壌に浸透して河川・湖沼水の汚染の原因となります。

豚における窒素代謝

窒素化合物が過剰に排出される原因は、飼料に含まれるアミノ酸のバランスの悪さ。たんぱく質中のアミノ酸のバランスが悪いと、飼料中のたんぱく質が有効に利用されず、利用できなかったアミノ酸が窒素化合物として排出されてしまうのです。
穀物中の必須アミノ酸要求量に
対する充足率

グラフグラフ

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飼料に足りないアミノ酸を補えば、排泄される窒素化合物は激減

不足するアミノ酸は、リシン(リジン)、トレオニン(スレオニン)、トリプトファンなど。これらを飼料に補えば、飼料中のたんぱく質が有効に利用され、過剰なアミノ酸が窒素化合物として排出されにくくなります。 総窒素排出量を約3割抑制することができ、土壌・水質への負荷が軽減します。さらに、飼料中のたんぱく質が有効に利用されて無駄に排泄されなくなるため、家畜の成長に必要な穀類の量も減らすことができます。
豚における窒素代謝

アミノ酸で環境汚染を大幅に低減、畜産資源も有効活用

このように、アミノ酸による家畜の栄養改善は、環境問題の解決、穀類の有効活用、畜産資源の増産にもつながります。 未来に向けて、環境への負担を抑えながら、畜産物の生産量を高めることはとても大切なこと。こうした窒素排泄低減技術はすでに世界各国に広く普及しており、アミノ酸は持続可能な畜産の切り札として大きく貢献しています。