社長メッセージ

ステークホルダーの皆様へ

味の素グループは、事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取り組みにより成長してきました。この取り組みをASV(Ajinomoto Group Shared Value)と称し、現在も経営の基本方針(ASV経営)としています。

社長としての私の使命は、ASV経営と、味の素グループの「志」である「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題解決」をしっかりと受け継ぎ、企業価値を飛躍的に高めていくことです。私は、「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題解決」という「志」、この志に対する従業員の「熱意」および「志」を共有していただける多様なステークホルダーの皆様の共感が、味の素グループがさらに成長していくための原動力だと考えています。志への熱意や共感が高まるほど、社会価値と経済価値を共創するASVの好循環が実現します。もちろん熱意だけではなく、実力や能力が伴っていることも重要です。社内外問わず、従業員同士やパートナーが適度な緊張感を保ちながら、士気高く自らの信念を貫き、目標達成に向けて本気でやり抜くこと、そのための実力を「磨」き続けることが求められます。私は、この3つを掛け合わせた「志×熱×磨」を大切にします。

サステナビリティの推進は、持続的な社会の実現だけでなく、味の素グループ自身の資本コストの低減と成長率の向上に資すると考えています。当社グループが取り組むべき社会・環境課題は数多くありますが、とりわけ環境面については、2030年度までの「環境負荷の50%削減」に加え、2050年度までに温室効果ガス排出量のネットゼロを実現することを2022年3月に宣言しました。ネットゼロを目指しながら、課題解決によって経済価値を生み出すASVを実践し、強靭かつ持続可能なフードシステムの構築に貢献します。

当社グループが常にサステナビリティの観点で企業価値向上を追求していくため、2021年4月に取締役会の下部機構としてサステナビリティ諮問会議を設置しました。同諮問会議では、様々なステークホルダーから各分野を代表する方々に参画いただき、マルチステークホルダーの視点で、当社グループのマテリアリティやあるべき姿等について先進的で有意義な議論と検討が進んでいます。私自身も多くの気づきを得て、ASVの実現につなげていける確信を持っています。併せて、経営会議の下部機構であるサステナビリティ委員会では、サステナビリティ諮問会議での検討を踏まえ、取締役会が示す戦略的方向性に基づき、全社経営レベルのリスクと機会の特定や事業戦略への反映を行っています。事業部門も能動的に参画し、2030年までに「10億人の健康寿命の延伸」と「環境負荷の50%削減」を両立して実現すべく、精力的に取り組んでいます。

世界中のステークホルダーの皆様から「志」への共感をどれだけいただけるか、また、トレードオフ(何かを達成するために何かを犠牲にしなければならないこと)になりがちなサステナビリティの取り組みをトレードオン(二律背反を超え、両立させること)にできるか、チャレンジングですが同時にワクワクしています。マルチステークホルダーの皆様とのエンゲージメントを大切にしながら、私たちが目指す“Eat Well, Live Well.”の実現、企業価値向上に向けて全身全霊をかけて取り組んでまいります。

ご指導、ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。

取締役 代表執行役社長
最高経営責任者

藤江 太郎